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乳がんブームと乳がん検診

ここ数年で“乳がん”がかなり注目されるようになったのではないかと思う。
注目どころか、今では「乳がんブーム?」と思わなくもないほど、メディアでの採り上げ方が激しいような気がする。それによって日本の女性が乳がんを意識し、年に一回は乳がん検診を受けるようになり、お風呂に入ったときなど、自分で触診してみる・・・というようになれば喜ばしいことだと思う。

しかし、ちょっと「ん?」と思わなくもないことが二つばかりある。
それは、極端に言ってしまえば、「マンモグラフィ崇拝」と「乳がんの軽視」である。
これがちょっと個人的に気にかかるところだ。

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本当に“乳がん”検診について勉強している女性なら、おわかりになると思う。
決して、「乳がん検診」=「マンモグラフィ検診」ではないのである。
乳がん検診には、視触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)がある。とくに「早期発見」を意識するのであれば、視触診よりも小さな段階でわかるマンモグラフィや超音波での検診を行なうのが望ましい。
しかし、マンモグラフィにも超音波にも、それぞれに一長一短があり、どちらか片方が「完璧」というわけにはいかないのである。
「マンモグラフィ」は、確かに触診ではわからないような小さな腫瘍まで発見でき、早期発見にかなり貢献している。しかし、「マンモグラフィ」にも弱点はある。とくに若い人の場合は、まだ乳房が発達していて乳腺が多く残っているため、マンモグラフィで撮影すると、腫瘍と乳腺が重なってしまい、判定できないことが多いらしい。
それをカバーできるかどうかは別として、そういった若い女性には、超音波のほうが有効であるという。
でもでも、結局のところどちらも一長一短である。検査技師のスキルの問題や機器、検診時間の問題、そして双方にひっかからない乳がんもあるということだ。
だから、「乳がん検診」=「マンモグラフィ検診」と若い人が思い込んでしまうことが一番怖いことだと思う。若い人は、どちらかと言えば、視触診+超音波のほうがいいようである。いずれにしても、どちらか一方ではなく、年齢や状況を見ながら、マンモグラフィと超音波の検査を組み合わせて行なうほうがよりよいらしいので、自分はどちらがいいのか、医師などに相談してみるのがベストと思われる。
そういう私は、自分で触診してしこりを見つけたので、検診を受けながらも、やはり最終的には、自分の体は自分で定期的にチェックしてあげることが最も大切なことと思う。

乳がん軽視
ちょっとこれは言いすぎかもしれない。
でもでも、乳がんが話題になるのと同時に、とくにテレビの番組などでは、山田邦子さんやアグネス・チャンさんが早期発見で乳がんとわかり、手術をして、その元気な姿でインタビューに答えたりしている。それはとてもいいこと。でも、意外に本人たちの思惑とは別で、確かに早期発見を訴える面では効果が上がっていると思うが、その半面で、「乳がん」そのものが、「治るもの」という認識なのか、乳がんを軽視しているような気がしてならない。確かに「乳がん」は「がん」の中でも治癒率が高く、生存期間も長い。しかし、「がん」には違いないのだ。
今、医療の中では乳がんが旬な話題とはいえ、視聴率かせぎのために、乳がん検診のことばかりを面白く採り上げていて、乳がん検診もマンモグラフィ崇拝的であるし、乳がんの治療も、「早期発見だったから、手術も乳房温存でき数日で退院して、今は元気に活動できまーす」的な印象ばかりが残り、キレイな部分だけがクローズアップされているような気がしてならない。それは事実なんだと思うが、その人たちも、化学療法やら内分泌(ホルモン)療法、放射線療法など、退院後も継続してなんらかの治療を受けていることだろう。しかし、そんなことはお首にも出てこない。
そして、有名なお医者さんがいれば、我も我もとそのお医者さんに「セカンドオピニオン」でかかりに行く。でも、セカンドオピニオンの本来の意味を理解していない。
さらには、名医は「乳がんを絶対に治せる」と勘違いしている。名医でも治せないものは治せないんだよ。魔術師じゃないんだから・・・。
本当に、こんな状態でいいのか?と思ってしまう。

そういう私も、昨年、「乳がんなんか怖くない」とか、「乳がん赤裸々体験記」などと言った感じで本でも出しみたらと言われたのですが、そこでまた私は「?」と思ってしまった。
私は、乳がんが怖くない・・・とは言えない・・・。
乳がんでもがんには違いなく、死に至る場合だってある。また、赤裸々体験記のように、どうしても乳がんが女性のおっぱいにできる病気のため、なんかそういうシンボリックに意味深に“ウケ”狙い的な感覚で捉えられるところもあるように感じる。
私は、恐怖心だけをあおるような話も好きではないが、それを軽視するような感覚の話も好きではない。実際に、乳がんで亡くなる方もいるし、4日で退院して元気に生活を続けている人もいる。それは両方とも事実で、どちらが正しいとかそういう問題ではない。それは乳がんの種類や発見時期、体力的な問題や治療法などにより大きく異なることなのだ。本来は、このブームで等身大の「乳がん」がクローズアップされることが望ましい。そして、検診が抱える問題点や、日本の薬物認可の遅いこと、医療現場が抱える問題点など、本当はもっともっと伝えなければならないことがあると思う。
SUN×SUN 昌子 * 乳がん雑考 * 23:03 * comments(0) * trackbacks(0) * pookmark

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